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今回は、新宿区歌舞伎町に本部がある「公益社団法人日本駆け込み寺」へ伺った模様をお伝えします。

各種メディア等でも取り上げらえる事が多い法人ですので、ご存知の方もいるかも知れませんが、日本駆け込み寺は「たった一人を救う」をモットーに、目の前の相談者が抱える様々な悩みや生活上の課題を傾聴・相談支援を通じて、相談者の自立の力を引き出す活動を行っています。

現在では、活動実績の積み重ねと共に支援の輪が拡大し、公益社団法人格を得ています。

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(お話を伺った千葉さん/本部事務所にて)


 

【ご協力頂いた方】
〇公益社団法人日本駆け込み寺 ファンドレイジングチーム/一般社団法人再チャレンジ支援機構 就労支援コーディネーター・広報 千葉 龍一 様
【取材場所】
〇公益社団法人日本駆け込み寺本部(住所:東京都新宿区歌舞伎町2‐42‐3林ビル1F)
【訪問日時】
〇平成30年2月13日(火)13時~

■ 日本駆け込み寺とは?

日本駆け込み寺とは、「困りごとの救急総合病院」として、新宿区歌舞伎町を本部拠点として、様々な生活上の課題・悩み事を抱えた方に対し、相談支援を無料で展開する公益社団法人です。

前身は、「新宿歌舞伎町駆け込み寺(旧名称・NPO法人 日本ソーシャルマイノリティ協会)」の名称で、新宿区歌舞伎町で9年間にわたり、ひとびとの悩みを傾聴してきました。
その後、全国の繁華街で直接面談する活動を展開したいと考え、2011年7月7日、日本財団の協力のもと、「一般社団法人日本駆け込み寺」として公益法人化しました。そして、翌2012年11月1日、活動の幅を広げるべく、公益社団法人格を取得し現在まで活動を継続しております。

また2013年には、関連組織として「一般社団法人再チャレンジ機構」を同じ場所にて発足させました。
こちらは、日本駆け込み寺で対応する相談を、より具体的な就労支援に結びつけるため「新宿駆け込み餃子(協力法人とタイアップした飲食店舗)」の運営支援や、自立準備ホーム退去後の住宅斡旋等の生活支援を行っています。

無料相談が前提のため、相談者からは費用を徴収していません。そのため、組織運営の財源は、更生保護法に基づき受託する自立準備ホームの運営措置費を除き、大部分は、活動に賛同した個人や法人の方々からの寄付金・賛助会員からの会費等でまかなわれています。

●法人概要(公益社団法人日本駆け込み寺)
○設立:2012年11月1日(公益社団法人格取得)
*前身母体での活動は2002年1月より開始
○本部:東京都新宿区歌舞伎町2-42-3 林ビル1F(℡:03-5291-5720)
○設立者:玄 秀盛 氏
○主な事業内容:
1.新宿歌舞伎町において年中無休の相談業務
2.弁護士による無料法律相談(毎月開催)
3.ボランティア活動(駆け込み寺パトロール隊等)
4.刑務所出所者等社会復帰支援(自立準備ホームの運営等)

【リンク】公益社団法人日本駆け込み寺 公式サイト

(小)パンフレット①

(「公益社団法人日本駆け込み寺」活動案内パンフレット①)

(小)パンフレット②

(「公益社団法人日本駆け込み寺」活動案内パンフレット②)

(小)再チャレンジ支援機構パンフレット①

(「一般社団法人再チャレンジ支援機構」活動案内パンフレット①)

(小)再チャレンジ支援機構パンフレット②

(「一般社団法人再チャレンジ支援機構」活動案内パンフレット②)

 ■ 当初は女性からの相談支援が主な活動だった

歌舞伎町の地で相談支援を始めた当初は、女性からのDV等の相談が中心でした。どちらかと言うと、被害者救済の相談支援を続けていましたが、支援件数を重ねるうちに「問題の根本を解決するには、加害者への介入(支援)が必要ではないか?」との気づきを得て、支援する対象が広がっていったそうです。

この加害者に対する支援が、現在の刑務所出所者等の社会復帰支援に結び付いて行きました。現在では、これら以外にも相談対応のジャンルの幅を広げ、家庭問題・DV・金銭トラブル・ストーカー・いじめ・ひきこもり他、様々な生活課題を抱えた当事者の支援活動を行っています。

■ 今の相談者は複合した生活課題を抱えている

現代の日本社会を反映する様に、日本駆け込み寺での相談者は、複合した課題を抱えています。例えば、DV問題が表立っていたとしても、同じ相談者(又は家庭内)には、「ひきこもり」「金銭問題」「離婚」「親族間のトラブル」なども同時に抱えているケースが殆どです。

この様な複雑なケースでも、過去3万件以上の問題解決の実績があるため、日本駆け込み寺では相談支援が可能です。ここが強みであると、千葉さんは仰っていました。

■ 「パトロール隊」の活動

日本駆け込み寺が実施しているボランティア活動の一つに、「駆け込み寺パトロール隊」があります。
この活動は2011年頃より、歌舞伎町界隈で実施していますが、当初は相談者の来訪増加を目的に団体の活動PRの一環として行っていました。
スローガンに「街の中をパトロール・心の中をパトロール」を掲げ、毎週土曜日20時~21時の間、夜回り活動を行っています。

 ●あいさつ・声掛けによる地域への浸透
前任の方から千葉さんが活動を任された当時は、パトロール隊の参加者が1~2名の事も多く苦労したそうです。パトロール地区である歌舞伎町を拠点に生業を持っている方たちからの視線も冷たく、実のある成果を得ることは簡単ではありませんでした。

試行錯誤を重ね、「先ずは地域の人たちに挨拶をする。声掛けを続ける。」事を続けた結果、今では見知った顔も増え、相談来訪者の紹介等にも繋がってきています。
声掛けの内容は、例えば「こんばんは」「お疲れ様です」などの一般的な挨拶です。これらごく普通の挨拶の継続が大切だという事です。

(小 合成)パトロール パンフレット

(「パトロール隊」活動案内パンフレット)

 ■ 「新宿駆け込み餃子」の運営

こちらの事業は、「一般社団法人再チャレンジ支援機構」が行う「出所者支援居酒屋プロジェクト」の一環として行われているプログラムです。刑務所等出所者の方たちに、新たな就労機会と社会性訓練の場を提供し、再犯防止・当事者の社会復帰を促進する事が目的です。

具体的には、歌舞伎町のど真ん中で、餃子メインとした24時間営業の居酒屋で出所者の方が、通常のスタッフとして働くというものです。
当プログラムに賛同した法人が店舗の経営を担い、支援機構がコンセプトの提案と、人材供給・メディア等でのプロモーション活動を担当するコラボレーション事業です。

 ●協力事業者を探すために歌舞伎町の法人を地道に開拓
「新宿駆け込み餃子」の開業に至るまでには、地元歌舞伎町の事業者約80社へ共同事業の提案を行いました。これらの折衝を通じ、「株式会社セクションエイト」と事業の合意に至り、2014年4月に店舗を開業しました。

お店では、出所者だけでなく一般の方もスタッフとして働いており、ここで3ヶ月間仲間やお客様との交流を通じ、社会性を身に付けてもらいます。3ヶ月のトレーニング期間終了後は、継続して勤務する事も別の就職先へ転職する事も自由です。

●「3ヶ月」の持つ意味が大切
トレーニング期間は、3ヶ月を設定していますが、この期間に問題なく仕事をこなせれば、その後も様々な就労に対する基本的な耐性が身に付くそうです。また、3ヶ月を経過する頃には、当初緊張感を持って人と接していた方でも本来の性格が表出され始めるため、人間の本質が見えて来るそうです。

(小 改2)店内①

(小 改)店内②

(「新宿駆け込み餃子」店舗内部の写真/公式WEBより)

■ 継続的な相談支援や駆け込み餃子等での就労支援がもたらす効果

法務省が公表する「犯罪白書(H29年度版)」によりますと、刑法犯により検挙された者のうち、再犯者の人員は、平成18年(14万9,164人)をピークとして、その後は漸減状態にありましたが、再犯者の人員が減少に転じた後も、それを上回るペースで初犯者の人員も減少し続けているため、再犯者率は平成9年以降一貫して上昇し続け、平成28年は48.7(前年比0.7pt上昇)となっており、50%近い数値となっています。

(小)再犯率グラフ

(「再犯者率の推移」警視庁統計・法務省H29年度版犯罪白書より)

この様な環境の下、日本駆け込み寺では相談支援業務を通じ、再犯の防止・再犯率の低減を目指した活動を行ってきました。その結果、日本駆け込み寺で関与する当事者の再犯率は10%程度を維持しています。
また、駆け込み餃子での就労を経験した方は、更に低い数値を実現しているそうです。

 ■ 千葉さんが目指す活動(千葉さんインタビューより)

●千葉さんが日本駆け込み寺に入職したきっかけ
現在では、公益社団法人日本駆け込み寺と一般社団法人再チャレンジ機構の双方の要職を担っている千葉さんですが、30歳を過ぎてから同法人に中途採用されたました。

千葉さんは、大学生当時、自身が運転する車で走行中に事故を起こし、同乗していた野球部のチームメイトの友人を死なせてしまいました。
その後、重大事故のため、裁判となりましたが、他の野球部時代の仲間からの嘆願書等のサポートの効果もあり、執行猶予付きの判決に落ち着きました。

この体験を経て、千葉さんは後の10年間「司法の世界から人々を救う」事を目指し司法試験を受け続けました。残念ながら弁護士になる事は出来ませんでしたが、そんな時に、日本駆け込み寺の職員募集の情報を知り、入職する事になりました。
そこで最初に得た役割が、ファンドレイジング(個人・法人等から公益活動に資する資金獲得活動)であり、前述の駆け込み餃子の事業企画提案も含め、地域での営業活動からスタートし、現在に至っています。

●千葉さんが目指す活動
ファンドレイジングの役割では、成果を上げるためには、初めに「人間関係作り」をしっかり行う事が大切だそうです。相談者の社会復帰を支援するための活動においても、就労先・協力事業者の開拓とその後の連携では、やはり人間関係作りが必要となります。
千葉さんは、常にこの要点を意識して、その他業務にも取り組んでいます。

(小)千葉さんイラスト①

(小)千葉さんイラスト②

(千葉さんのエピソード紹介/イラスト)

■ 今後の展望

●日本駆け込み寺
先ずは、主力の相談事業の継続です。相談者の就労継続もそうですが、日本駆け込み寺に限った事ではなく、一般社会でも事業の継続は難しい事であり、様々な支援者との関係を維持しながら、現在の役割を続ける事を目標に置いています。

●再チャレンジ支援機構
千葉さんが特に力を入れたいと考えている事に、相談者の「居住支援の充実」があります。
日本駆け込み寺に相談に来る刑務所出所者は、先ず自立準備ホームに入居して、社会復帰訓練を開始する事が多いですが、この自立準備ホームは、中間施設のため3~6ヶ月で退去しなければなりません。そのため、その後の一般住居への入居支援が必須となります。この流れをスムーズに行える形を作りたいと考えています。

また、就労支援に関しては、再チャレンジ支援機構がハローワーク的な機能を充実させる事を目標に置いており、街の人材紹介会社の形態に等しい支援を行えるようになることを検討しています。

●新宿駆け込み餃子
新宿駆け込み餃子では、店舗の拡大の目標があります。店舗数が広がる事で、就労支援のキャパシティも拡大します。
また、現在出所者の方は一般の従業員として働いていますが、近い将来店長として、マネジメントする立場に昇格させることを目標に、教育支援も行っています。

彼らが主役となり、責任者として要職を全うすることで、新しい社会貢献の形が作れるのではないかと考えています。

 

文責:中央支部広報公益委員会

2018.02.19

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